MITデータサイエンティストが気づいた競馬の勝ち方
投資競馬の核であるレースレーティング技術である「クラスリビルド」の開発に貢献してきたMITデータサイエンティストのデイヴィッドとの対談をまとめてみました。
伊藤「データサイエンティストから見た競馬の面白さとは?」
日本の競馬は文化的だと思うよ。ただのギャンブルじゃなくてストーリーを愛しているように見えるんだ。そうじゃなかったら世界トップの馬券売り上げにならないさ。日本人は欧米より貯蓄が好きだし、そこはすごく理性的な面を持っている。根っからのギャンブラーではなく、上手くつきあって楽しんでいる人の方が多いと思うんだ。そこがアメージングなところだね!
デイヴィッド
伊藤「ギャンブルはやるべきじゃないという声があるよね。」
僕が尊敬するホーキング博士が「神は完全にギャンブラー」と言っていたように人間とギャンブルは切っても切り離せない。みんな生きている限りギャンブルに参加せざるを得ないんだよ。世の中を便利にする何かを開発するというのもギャンブルだからね。そこを正しく見られないと成功することなんてできないよ。安定した収入を得たければ自分自身を成長させるしかないんだ。
デイヴィッド
伊藤「人生はギャンブルそういう見方は少なくない。だから、恵まれてきた人が有利になりやすいという意見もある。」
生まれつき持っている才能「ギフテッド」で稼ぐ人たちは確かにいる。たとえば、たくさん食べられる人はYoutubeで動画としてアップロードするだけで普通に働くより多くの収入を得ることができるんだ。その能力は、天性のものであって後天的な努力だけでは身につかないよね。だからといって何もしないのは違うよ。俯瞰で見れば僕たちもギフテッドだし、そう思うことが大事。
デイヴィッド
伊藤「不利な状況を変える人とそうでない人っているよね。」
アメリカは1%の富裕層が多くの資産を握っているけど富裕税の導入を検討しているようにシステムにチャンスがあれば不利な状況は変えられる。問題はどう変えるか。正しい手順でなくても方法ならある。まず、自分の可能性を制限しないこと。次に自分自身にとって有利なチャンスを生み出すアクションを起こせるかだね。
デイヴィッド
伊藤「ホーキング博士が言う神のギャンブルに勝つ方法はあると思う?」
これから世の中がダイナミックに変わっていく。今後はもっと個人の能力が問われるようになるんだ。つまり、人と違うことが評価されるようになる。これはすでに起きていてユーチューバーやストリーマーなんて典型的な例だよね。自分の得意分野と何かを結びつけるだけで十分に勝てる可能性はでてくるよ。そこで大事なことは変化を恐れないこと。あまり真剣になりすぎず適度に楽しむことも大事だね。
デイヴィッド
伊藤「これからでてくる5Gや人工知能が世界を変えていくのは間違いない。そのような中でクラスリビルド開発に携わった理由が知りたい。」
日本の競馬は予想文化が成熟していて他にはないくらいデータが充実しているよね。そのような中で何ができるのか試すために参加してみたけど色々と学ぶことが多かったよ。それと同時に競馬は断片的でも価値あるデータさえあれば勝つことができると思えるようになったんだ。日本くらい大きな馬券市場があればチャンスがありそうだと考えるのは自然なこと。むしろ、負のイメージがあるからって敬遠するのはもったいないね。実際うまく付き合えている人の方が多いんだから。
デイヴィッド
伊藤「日本の競馬で何か気づいたことはあったかい?」
クラスリビルドで競走馬を見ていくとファクターの影響を受けることで能力が大きく変化する様を見られるようになった。特に日本のレースは着差が少ないから正しく把握していないと利益になるシーンが分かりづらい。それに競走馬に勝つ意識は期待できないし基本的な性質は気まぐれ。だから、データ分析力がそのまま予想力に直結しやすいし、馬券の買い方も長期戦略にこだわらないといけないことが分かってきたんだ。
デイヴィッド
伊藤「投資競馬のセールスポイントはどこだと思う?」
投資競馬の強みは「ストーリー」があること。クラスリビルドがストーリーの点を見つけて、それをトップクラスの相馬眼を持つエージェントやENV指数などの補完情報が加わることで線で結びついていく。こういったストーリーで馬券を買えるのは間違いなく有利になる。これはいけるぞという確信はストーリーからしか生まれないんだ。その一部だけでも知ることができれば競馬の勝ち方が見えてくる。
デイヴィッド
伊藤「これからAIを使ったアプリなんかが普及してくるけど自動的に馬券を買うべきだと思う?」
どのようなAIにもよるけど小さな変化をとらえるのは人間より上手いのかもしれない。だけど、AIは社会にある空気感を感じ取れないからダイナミックな変化は人間の判断が役に立つと考えている。開発元の違うAIが増えてきたら、それぞれが正しい結果を出すと思うかい?つまり、大きく稼ぎたいなら自分で考えないと、いたずらに時間を消費するだけになると思う。そのことに気づいた人からアプリはやめて自分で買うようになるんじゃないかな。投資競馬は自分の強みを生かしやすいから自分で買った方が満足いく結果になりやすいしね。
デイヴィッド
伊藤「複雑なAIになればコストも高くなっていく。ずっと続いてきた競馬新聞の停滞ぶりを見ると・・・」
競馬のような先の見通しが利かない分野だとAI導入は進まないだろうね。クラスリビルドができたのは奇跡的な人材が揃った部分も大きいから。AI開発・構築・運用すべてにマンパワーが必要になる。正しくあるためには扱う人間がまず正しくないといけない。そのためにはマインドを磨くことも必要になる。だって人間の見方はバイアスがかかるものだから。それだけに複雑な判断が必要な競馬でのコストはうなぎ上りになりかねない。開発も大変だけど維持することも大変。だから、興味を持ってくれた人と長く互恵関係を結んでいけるかが重要になるね。
デイヴィッド
伊藤「データサイエンティストは馬券下手という話があるけど本当?」
あまりにデータの関連性を重視してしまう習性があるからね。数字の持つイメージにとらわれすぎてしまうんだ。現実では0.1秒なんて少しの差でしかないのに、僕らはまるで絶対的な差であるかのように見てしまうことがある。うまく馬券を買うコツはデータ分析しないことだよ(笑)データサイエンティストが買うと大失敗はないけど大成功もないと思うね。高配当というのは、いつでも理解がおよぶ所より少しズレたところにあるもの。だから、データ分析と資金管理に求められる独創性は違ったものになるんだよ。投資競馬で役割を明確にしていることは勝つためには非常に重要なルールだと感じている。
デイヴィッド
伊藤「もし控除率がゼロになったら誰でも勝てると思う?」
いま勝っている人はより勝つようになるけど、負けている人が勝つようにはならない。それは、株式投資の世界を見てれば分かること。圧倒的に稼いできたウォーレン・バフェットなんかいい例だよね。でも、これからは技術の発達で着実に差が縮まってくる。その時のために自分の強みを理解して鍛えておくことが差を生み出すことになるんだ。どんな世界でもやり方が1つというのは絶対にありえない。ただの皿を拭くことでさえ何百通りのものやり方があるのを知っているかい?投資や競馬の勝ち方になれば人の数だけあっても不思議ではないと思うよ。
デイヴィッド
伊藤「最後になるけど、これからくる大きな変化で成功をつかむヒントがあれば。」
期待値は長く続ける人に味方しやすい。正しく恩恵を受け取るために自分が普段から行っているバイアスに気づいてマインドをセットしなおすことが必要になる。投資の世界だと予想力は武器になりにくいと言われてきた。評論家より猿の指さしの方が勝率がいいと言われるくらいだからね。それより重要なのは自分の強みを生かすための戦略的なプランに集中すること。そのためにデータから価値ある情報を取り出す分析力が必須になるけど、そこに誰もが時間を取られるべきじゃないんだ。だから、JRA-VANを利用する人は多いと思うけど、その中でもクラスリビルドが有益な選択肢になると自負している。これからの時代はゼネラリストのように何でもやれることは評価されなくなる。自分のやるべきことに集中した人から勝っていくのは間違いないことだよ。たとえ、投資競馬をやらなくても、そのことを覚えておいて欲しい。
デイヴィッド
最後に、みんなの支持に感謝したい。たくさんの人と巡りあって色々な刺激を受けながらクラスリビルドを開発することができた。それを利用している聡明な人たちがいて適切なフィードバックがもらえる。そういうシステムがあるからこそ物事が良い方向へと進んでいく。きちんとした環境に身を置くことができれば、あなたの資質や才能は間違いなく生き生きとしてくるでしょう。ドモ、アリガトゴザイマス!
デイヴィッド